3月11日の中島公園です。 人気もなく静かな公園ですが、小さなドラマもあります。 お話ですから、悪い人も出てきます。 本当は良い人かもしれません。 きっと、事情があったのでしょう。 話を短かく纏めるために悪役になってもらいました。
中島公園内にある北海道立文学館 中島公園が大好きな小父さんは毎日、散歩に来ていました。 ある日、「この公園の為になることをしよう」と思い立ちました。 地下鉄駅付近の園路に自転車が乱雑に置かれているのを見て、これを奇麗に並べることにしました。
小父さんの大好きな景色は池越しに観える藻岩山です。 自転車の整理を始めて、しばらくすると「小父さん、おはよう。いつもありがとう」と声をかけてくれる人も現れました。 小父さんは嬉しくなって、一日に何回も整理するようになりました。 乱雑に置く人は多く、一回だけでは間に合わないのです。
中島公園地域猫、危ないようには見えませんが… 雨の日も風の日も、雪の日でさえ、そこに自転車がある限り、キチンと並べなくては気がすまなくなりました。 驚くことに、一日も休まず14年間も続けたのです。
小父さんには二つの楽しみがありました。 一つは自転車がキチンと並びきれいになった中島公園を観ること。 もう一つは、「おはよう」「ありがとう」「元気?」と声をかけてくれる人たちとのふれあいです。これがあるから14年間も続けることができました。
「小父さん、大変だね。オレもキチンと置くから」と言われると、「いいですよ。私の健康の為だから」と顔をほころばせて応えます。
しかし、小父さんの心を深く傷つけることが起こってしまいました。 世の中には心のない人もいるものです。
新しい地下鉄駅の出入口、4月から使えます? 多分。 ある朝、小父さんが自転車を整頓していると、自転車を乗り捨てるように置きっ放しにして行こうとする人がいました。 小父さんはたまりかねて注意しました。
「ちょっと、すみません。そこは通り道ですよ」
「アンタだれ?」と、凄味のある目でにらまれました。
小さな声で「
ポランティアです」。
「なに、それ? 何の権利があって文句言うのよ!」
「通り道に置いたら迷惑しますから…」
「うるさいわね! ワタしゃアンタみたいな暇人じゃないのよ」
画像右側、並木の横に立て看板と木に貼った「注意書き」 自転車を整頓する小父さんの姿が見えなくなって半年たちました。 乱雑に置かれた自転車の横には、「ここに自転車を置いてはいけません」と書かれた看板が立っています。
鳩にカメラを向けると、飛んで来ます。 腹が空いているのですね。 夏には沢山の人が鳩にエサをやります。 しかし、冬になると、餌をやる人はほとんどいなくなります。 鳩は人の気まぐれな行動に翻弄されているように見えます。