2008年10月02日

事故に遭った慎重な人

2008/10/2

「事故に遭った慎重な人」       
かなり長いこと旅行に行っていない。空港に着くと27年前にタイムスリップしたような気がした。何となくタワー(管制塔)を見たくなった。団体旅行だが、皆から離れて一人で外に出た。仙台空港もずいぶん変わったものだと思った。 タワーを見ていると27年前のことを思い出した。

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    なぜか仙台空港と思って撮った新千歳空港

当時、友人が仙台タワーで働いていた。 転勤の挨拶に行ってみたが、仕事をしているようには見えなかった。
「ヒマそうだな、仙台は狂ったように忙しいとか言ってたじゃないか」
「事故が起きたんだ。 機体は片付けたが、警察で捜査中よ。ランウェイクローズ だ」
小型機が着陸に失敗したらしい。滑走路は閉鎖中だった。
「けが人がでたのか」
「そうらしい」

この事故で知人が命を落としたことを知ったのは、札幌に着いてからだった。彼はアマチュアパイロットだが、事業用操縦士のライセンスを持っていた。同じアパートに住んでいたので、同乗して帰ることが多かった。車中でよく話をした。
 
「訓練中の(アマチュア)パイロットの面倒をみているんだ」
とよく言っていた。
「判事って偉いのか」と聞いてから、「実は今度の訓練生は判事なんだ」と得意そうに言う。アマチュアだが、気分は教官である。実際もそうかもしれない。

新聞には乗員2名死亡と書いてあった。 無口な奥さんの顔を思い出した。いつか彼がこんなことを言ったことがある。 
「金を貯めて女房にボタン屋をさせるんだ。ボタンは腐らないから素人でも出来る。あらゆるボタンをそろえて置けば、そこそこの商売になるんじゃないか。そうすれば年金の足しになるな」
まだ、四十前なのに、やけに年寄り臭いこと言うものだと思った。あれほど慎重な人が、こんな最後を遂げるなんて、人生は何が起こるか分からない。 

もの思いに耽っていたが、ようやく自分がいる場所が仙台でないことに気がついた。千歳空港を歩いているうちに起きた錯覚だった。なんとなく無機質な構内、歩いているうちに自分がどこにいるのか見失う。空港には個性がない。飛行機も同じだ。有機質の人間が無機質の飛行機に身を任せる。慎重なパイロットも時には自分を失うのかもしれない。
タグ:事件事故
posted by nakapa at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記