2008年06月08日

カラオケ別れ道

2008/6/8

「カラオケ別れ道」
冗談ではない。私たちの話に割り込んだBさんの一言で、危うく別れ別れで帰ることになるところだった。
 
私はトボトボ歩いて、Aさんは車で、左と右に泣き別れ。ひょっとしたら永遠の別れになったかもしれない。お互い先は短いのだ。

カラオケの前にちょっとした事件
今日は楽しい3人カラオケ。 いつもの時間に、いつもの場所で1か月ぶりの再会を楽しみにしていた。 
しかし、カラオケボックスに入ったトタンに嬉しい気分も吹き飛ぶような「事件」が起こった。

原因は1匹の小さなハエ。 あちらこちらに飛んだあげく入口の近くにポッと止まった。 
「うるさいな。追い出してやろう」と思ってドアを開け、止まっているハエを帽子であおった。 

ハエは開けたドアから出ないで反対方向に飛んで行ってしまった。 そのとき「なんでぶっつぶさないのよ」と、険のある声がした。

振り向くとAさんが目をつり上げて、私をにらんでいる。 今まで見たことがないような怖い顔をしている。 こんなことで怒らなくてもいいのにと不快に思った。

わが家では無意味な殺生はしない。 虫が入ってくるとティッシュで軽く包んでティッシュごとベランダに棄てる。 虫が出て行ったのを見届けてテッシュだけを回収、ゴミ箱に棄てることにしている。

ハエはAさん側の壁に止まった。 「そちらに行きましたよ」というと、Aさんは情け容赦がない。 その辺にあった紙を丸めて思いっきりたたいた。

わずかに外れたが、ハエは床に落ちた。「まだ動いていますよ」というと、「ぶっ殺してやる!」 と言いながら思いっきり踏んづけた。
「ぎゃー!!」私がハエならそう叫んだだろう。

「なにも殺さなくていいのに、拾って外に出せばすむことでしょう」
「なに言ってんのよ。手が汚れるじゃない」
「靴がよごれましたね。25万円の靴が泣いてますよ」

それは足を折って入院したときに、おねえさんからもらった100万円の見舞金で買った、Aさん自慢の靴である。

カラオケ中のさや当
「弱いからだに〜 かさねた無理を〜♪」
と歌いだすと、とたんにAさんが横やりを入れた。

「弱い女がそんなに好きかい!」言い方にトゲがあるから冗談には聞こえない。

別にそうゆうわけではないが、次の歌詞を聞かせたいのだ。今のAさんにピッタリではないか。
「かくしていたのか 濃いめの化粧〜♪」

奇麗と思っていたが、ハエの一件の後ではそのようにしか見えない。感情の変化で同じ顔が違って見えるから不思議だ。

「強い女は嫌いかい!」
少しは静かにしてほしい。ハエを一匹殺したくらいでそんなに強がることはない。バカらしい。私は熱唱中だ。口答えもできやしない。

「いくども色を 変えながら 枯れて淋しく 散ってゆく〜♪」 どうだ、まいったか。と心の中で叫んだ。私だって皮肉の一つも言ってやりたい。 直接は言えないから、精一杯感情を込めて歌ってやった。 

幻の別れ道
カラオケ店は家からバスで30分くらいだが、帰りはAさんが最寄の地下鉄駅まで送ってくれる。
ハエの一件が尾を引いているようだ。 いつもなら「乗って行かない」と声をかけてくれるのだが、今日は違う。  

「バス何時?」とAさん。
「まだ42分ありますね」

そばにいたBさんが口を出す。
「歩いて行けばいいじゃない。真っすぐ行けば豊平川。後は簡単よ」。 確かに道順は簡単だが、1時間もかかりそうだ。

今日はバスで帰るつもりだったが、Bさんに歩けと言われて気が変わった。
「乗せてくれない」と、Aさんに頼んだ。
 
意外にもこころよく乗せてくれた。車の中でAさんがいった。
「歩くの嫌なの?」
「嫌じゃないけど、お名残惜しいでしょ」
「そう。 私もお茶でも飲もうかと思ったのよ」
それで、バスの時刻を聞いていたのだと分かって、ホッとした。

「Bさんの一言がなければ、今ごろ二人でお茶でしたね」
「そうね…」
「これから行きましょうか」
「いいわよ。すんだことだから」

「ハエをぶっつぶせ」と怒ったのは本気だ。だから、それを引きずって帰りたくなかったのだと思う。 長い付き合いだが、お茶に誘われたのは初めてだ。

Aさんは決して謝らない。 その代わり命令を下す。 「いろいろありましたが、丸ごとひっくるめて付き合ってください」。メールにこう書いてくる。

これは命令形。犬に対して 「オイデ」「オスワリ」「マテ」と命じるのと基本的には同じと言えるかもしれない。 ふと、つまらないことを考えてしまった。なぜだろう。

クリックすると元のサイズで表示します

「仲直りしたのか、次が楽しみだろう」
「それがダメなのです」
「なんで?」
「Aさんのボーイフレンドが京都から来るんですよ〜」

”港のヨーコ”のふしで言う。「あんた、Aさんの なんなのさ♪」
「渡世人とは、つらいもんです」
「そんなセリフはニヤワンぞ」

「ええ、そのワンの方でして…」
「なに?」
「私はAさんのポチです」
posted by nakapa at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記