2008年04月12日

管制官2人に逆転有罪

2008/4/12

「管制官2人に逆転有罪」         
「今朝の新聞に日航機ニアミスで管制官2人に逆転有罪、誤指示の責任認定と出てました。とんでもないことですね」

「まったく、とんでもない事だ。便名を間違え危険な管制指示を出したんだから当然の罰。 あんたとは珍しく意見が一致したな」

「いえいえ、おかしな判決だとおもいまして……」
「バカを言うんじゃない。間違って重大な被害を与えたなら、罰をうけるのは世界の常識だ」

「そうかも知れませんが、航空先進国である欧米では、 当事者を免責したうえで真実をすべて語らせ、再発防止に役立てているのです」

「管制官は間違えてもいいというのか。罪を犯したら罰を受けるのは当然だ。なんでも欧米の真似をすればいいというものではないぞ!」

「罰、罰というと、処罰を逃れようと本当のことを話さなくなってしまうのです。それでは原因究明が出来なくなり、再発防止も不可能になるのです」

「処罰を免れようとは卑怯な奴らだ。徹底的に罰して、二度と仕事を出来なくしてやればいい」

「それもそうですが、別な考え方もあります。少し長くなりますが、最後まで聞いてもらえますか」
「聞いてやるから言ってみな」

「航空事故あるいはニアミスなどの原因は非常に複雑です。航空・鉄道事故調査委員会の報告書でも、システムの不備や運用の不徹底など複数の要因が指摘されています。

今回の判決の問題点は『原因追求→再発防止→航空の安全』と言う、安全追求のプロセスを無視していることです。当事者を免責したうえで真実をすべて語らせ、再発防止に役立てる。これが一番大切なことなのですが……。 

原因が分からなくて、再発防止策をたてようがありません。 刑事免責は多くの航空事故を経験し、やっとたどり着いた結論なのです。国際標準といってもいいと思います。 

しかし、日本には日本の法律があります。今回の判決も法律的には一つの正しい判断かもしれません。 しかし、再発防止の観点がない判決とは何なのでしょう。 法律のことは難しくて、よく分かりませんが、裁判官は航空の安全を最優先に考えなくてもいいのでしょうか。

再発防止策は航空界全体の財産になります。外国にとっても参考になるものです。日本でも多くの外国の事例を安全の為に活用しています。 日本だけは犯人を見つけて刑罰を与えて一件落着でいいのでしょうか。

繰り返しになりますが、当事者を免責したうえで真実をすべて語らせ、再発防止に役立てることは極めて重要なことで、今のところ、航空の安全にに繋がる、これ以上の方策は見当たりません。 

航空事故あるいはニアミスなどの原因は非常に複雑です。航空機の運航、気象、このケースでは管制方式、その他もろもろの問題があり、限られたスペースでは言い尽くせるものではありません。

そこで、一番重要なこと。人命に関わる再発防止の為に何が必要か、その一点に絞り考えてみました。 もちろん、素人考えですから、間違い、誤解などはあると思います。多くの中の一つの意見と思って頂ければ幸いです」


日航機ニアミス事故
静岡県焼津市上空で2001年1月31日、羽田発那覇行き907便と韓国・釜山発成田行き958便が異常接近し、衝突を避けようとして急降下した907便の乗客57人がけがをした。訓練中の管制官が958便に出すべき降下指示を907便に出し、指導役も気付かなかったとして、東京地検は04年3月、2人を在宅起訴。他に書類送検された907便の機長は不起訴となった。(毎日新聞 2008年4月12日)
タグ:事件事故
posted by nakapa at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記