2008年03月30日

巨悪に挑む?(中)

2008/3/30

「巨悪に挑む?(中)」  
 〜深まる謎〜
このページは巨悪に挑む?(上)の続きです。

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参考画像:豊平館前の池2005年夏撮影(エッセイとは無関係) 

木曜夜の8時は、私が担当するラジオ番組の放送日である。B公園を話題とした1時間番組だ。当然、この夜は「消えた鯉」の話題が中心となった。考えてみれば、鯉が消える筈はない。死んだと思うのが普通だ。
「B池で鯉の死骸を見た人はいませんか?」
と呼びかけたが、残念ながら目撃情報は得られなかった。なぜだろう? 疑惑はますます深まって行く。

放送が終わると「のどかわいたね」と言ってゲストさんと二人でビールを飲みに行った。話も弾み時間を忘れ、帰りが少し遅くなった。家に帰るとQPが怒っていた。「あんた何処に行ってたの!新聞社から何回も電話がかかって大変だったのよ」

11時過ぎたばかりだが、早寝のQPにとっては真夜中だ。寝入りばなを起こされて機嫌が悪い。しかし、何の電話だろう? 何か圧力のようなものを感じた。捉えようのない不安を覚え、なかなか寝付けなかった。

寝不足の朝を迎えた。不安を解消するには行動しかない。C記者にコンタクトをとろうと新聞社に電話したが不在だった。帰ったら電話してくれるように頼んで切ったが、その後連絡はなかった。メールを送っても返事は来ない。こんなことは初めてだ。今までは彼が積極的に動いて、私は協力する立場だった。一体何が彼を変えたのか? 解せないことばかりだ。

ともかく、大量の鯉の死骸を見た「証人」を探すのが先決だ。記者と連絡が取れても「証人」がいなくては、記事にすることはできない。三日間必死に探して、やっと「証人」を見つけることができた。

「鯉は100歳まで生きるといわれているんだよ。でっかい死骸がゴロゴロしてたぞ! 何でこんなB公園始まって以来の大事件が新聞にもでないんだ」
おじさんは怒っていた。D新聞に電話をかけたが、何の反応もないと言う。

「差し支えなければ電話番号を教えて下さい。D新聞社のC記者がこの事件の担当です。お宅に連絡させますから、今いったことを話して下さい」
おじさんは喜んで電話番号を私の手帳に書いてくれた。

「これにて一件落着」という気分で、意気揚々として新聞社に電話した。C記者はなぜかつかまらない。メールを何回も出して「証人」を見つけたことを伝えたが、返事がない。一体どうしたことだ!

C記者は20代の駆け出しだ。上からの圧力がかかったのかも知れない。しかし、なぜそのようなことをする必要があるのだろうか。記者は「『証人』を見つけてくれたら、徹底的にやる」と言いながら、なぜ連絡をしてこないのだろう。放送日の夜にかけてきた電話は一体何だったのだろうか? 謎は深まるばかりだ。

あれから2ヶ月たち季節は夏になっていた。B公園をいつもブラブラして、いろいろな人と立ち話しているおじさんがいる。ちょっとやくざっぽい感じなので、仮に親分と呼ぶことにする。私もときどき話すことがある。その日はB公園での自殺の話をしてくれた。

「ここではな、毎年のように自殺があるんだ、今年も二人死んでいるんだ。日本庭園とボート小屋近くであったな。あんたは知らないと思うが、自殺は絶対に新聞にでないよ」
「新聞に載らない話はもう一つありますよ。B池での鯉の全滅です」と言って、一部始終を話しはじめると、親分の表情がみるみる険しくなって行った。ああ、言うんじゃなかったと思っても、もう遅い。しかけたものは途中で止められない。

「あんたかい?ラジオでぺらぺら喋ったというのは! みんなが迷惑しているんだ。どういうつもりで嗅ぎ回っているのか知らんが、生活がかかっている者もいるんだよ」
犬じゃあるまいし、嗅ぎまわってるなんて失敬じゃないか。こんどはこっちの頭に血が上った。

「子供たちが池の主と呼んでいた鯉が、全滅してしまったのです。100歳を超えた鯉もいたかも知れません。原因が分からないから心配なのです。いいですか、鯉がいなくなっただけでは、すまないのですよ! この公園が壊れ始めているのです。役所は無関心だし、新聞は知らん振り。こんなことで本当にいいのですか!」

それからしばらく激しいやり取りが続いたが、お互いB公園の「陰の責任者」と自認する者同士、話している内にだんだん分かり合い、落ち着いて来た。
「あんたの言うことも分かる。俺だって鯉がいなくなってガッカリしているんだ。本当のことを教えてやるから、誰にも言うなよ」と念を押しながら、一部始終を語り始めた。 

その内容は経験した者でなければ語れない、多くの「事実」を含み、私の疑問は全て解消された。「驚くべきこと」はその内容だが、いくらなんでもここに書く訳には行かない。しかし、「謎を解く」と読者に約束した以上、いつの日か書かなければならないだろう。

「おいおい、何でこんなところで止めるんだ」
「ここで区切りをつけて、関係者の反応をみたいのです」
「フィクションだろう。関係者なんかいるわけないじゃないか」
「そうですね。フィクションでした……」
「しっかりしろよ。強い男になったんだろう」
「それもフィクションです」

*フィクションとは「作り事。虚構。作者の想像力によって作り上げられた架空の物語」。
タグ:事件事故
posted by nakapa at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記