2008年01月12日

スッキリした景観

2008/1/12

「スッキリした景観」          
3年前の夏のことだが、北海道庁でカメラの達人と会って写真の話をした。達人は立派なデジカメで親子鴨を撮っていた。

「(子ガモは)何羽ですか?」と話しかけると「さっきまで6羽だが、カラスにやられて今は5羽」と一部始終を話してくれた。

「カメラ長いんですか」と聞くと、「50年以上やっている」と達人。思わず「家一軒立つぐらい使ったでしょう」と口がすべった。 「写真屋だからな」と言われシュンとなってしまった。

達人は気を悪くする風でもなく「カメラは空間処理と時間処理だから・・・」とか、いろいろ教えてくれ「中島公園にはよくバラを撮りに行くよ」と言ってくれた。

いつも鉄パイプとロープで囲まれている中島公園のバラが気になっていたので、「中島公園のバラはロープが邪魔じゃないですか」と聞くと「ロープは撮らない、花だけ撮る」と当然の返事が返ってきた。

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「だけど、全体の景観を撮るとき邪魔でしょ」とたたみかけた。何とか邪魔と言って欲しかったのだ。すると思いがけない答えが返ってきた。

「公園は造園技師が造ったもので、作品にはならんのだよ」と。 中島公園は作品にはならないのかと、少しガッカリした。

私は花も中島公園の景観の一部と思い、ロープも鉄パイプも立入禁止表示も景観を妨げるだけのものと考えていた。しかし、写真の達人は作り物の景観など目もくれずバラだけを撮ると言うのだ。

それなら「ロープ」も「立入禁止札」も少しは役に立つだろう。ものぐさな人はロープをまたいで中に入ったりしないし、真面目な人は「立入禁止」を無視したりしないから。

それに、わざわざ達人が撮りに行くのだから、中島公園のバラは被写体としても貴重なものなのかなと少し見直した。 だから大事にしているつもりなのかなとも思った。 

約1年後、指定管理者制度という新しい制度が出来て公園の管理者が交代した。 新しい管理者は長年張ってあったロープをあっさりと撤去してしまった。

もともと不要なものだが、いくら意見を言っても管理者が交代しない限り受け入れてはもらえない。中島公園のバラの花壇を囲む、あのロープは景観を悪くしていただけのような気がする。

一体なんの役目を果たしていたのだろうか。不思議でならない。 ロープがなくなってスッキリした景観を観てホッとしている。 新しい業者は造園の専門家だと聞いて納得した。

以下は私の推測に過ぎないが、なぜ不要なロープが張られたか考えてみた。恐らく「バラのトゲで子供が怪我をした」と言う様な苦情があったのだと思う。 

ロープを張ったところで、手が届くのだから、怪我をする場合はする。 しかし、管理者としては「ロープを張って注意を喚起した」と言って責任を果たしているポーズをとることが出来る。 

ある意味ではまったく無責任な考えだ。 以上、勝手な推測で申し訳ないが、中島公園のあのロープからは、そんな推測しか浮かんでこない。

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posted by nakapa at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 公園管理