2007年12月04日

上流社会のM君(後編)

2007/12/4

「上流社会のM君(後編)」         
M君のお屋敷で優しそうなお母さんにお菓子をご馳走になり、至福のひとときを過ごしました。 しかし、帰りがけに「君の家に遊びに行きたい」と言われ、戸惑ってしまいました。あの惨めなバラックは絶対にM君には見せたくなかったのです。

何とか思い止まってもらおうと、「遠いよ、野良犬もいるし、危ないんだ」とか言って説得に努めましたが、「君だって僕の家に来たのだから」と言われては、ノーとはいえません。

足が重くのろのろと家に向って歩いたことを今でも覚えています。バラックの家の前に連れて行くのは、どうしても嫌なので、家の見える高台に連れて行き「あすこ」と指をさしました。 

M君は一瞬の内に全てを理解したようです。そしてこう言ったのです。「君の方が恵まれているよ。僕の家なんか借りものだよ」
クリックすると元のサイズで表示します

焼けトタンのバラックは冬は隙間風で寒く、夏はトタンが焼けて暑く、居住環境として最悪です。北海道に来ても、こんな寒い思いをしたことはありません。 

それでも暑さ寒さはなんとか我慢できますが、一番辛いのはこのバラックに住んでいることを知られると、仲間はずれにされることです。そのときはM君の一言でホッとしました。「大丈夫だった、嫌われなかった」と安心したのです。

M君は小学3年で既に紳士です。驚きですね。あの優しそうなお母さんの教育のせいかも知れません。私はこんな立派な子供に育てる、「上流社会」の人が大好きです。

社会全体が混沌とし、弱肉強食はびこる時代でしたが、反面博愛主義的な生き方を信条とする人も少なくなかったと思います。
posted by nakapa at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記